天気の子世界最速公開に潜入。世界最速レビュー?

2019年7月19日映画

「天気の子」レビュー 世界最速公開に行ってきました!!

2016年08月26日に「君の名は。」が公開されて早3年。
待望の新海誠監督の次回作「天気の子」が本日公開されました。

運よく、東京、大阪2000名限定の、世界最速公開チケットの抽選に当選しましたので、その鑑賞後、おそらく世界最速(と思いたい)のレビューをしていきたいと思います。
「君の名は。」の際は試写会が上映されましたが、今回「天気の子」は試写会がなく、完成報告会のみで本日迄、その本編が公開されることはありませんでした。

どうやら公開ぎりぎりまで完成していなかったらしく、ここ1か月ほどは特報をはじめ、各種インタビューなどからも大まかなストーリーが分かる程度しか情報がありません。

7月18日には小説版が発売され、公開前にそのストーリーを知る事も出来なくもありません。

Amazonで注文は行い、すでに手元に届きましたが、映画鑑賞するまでは表紙をめくらない事にしました。

2,000名の観客を東京と大阪で選び、公開日の7月19日の00:00に最速公開を行う事が告知され、1か月前からのローチケのみで抽選販売された最速公開チケット。

今回当たればラッキーくらいのつもりで応募したのですが、実は今回、友人も当選しており、意外と競争率は低かったのかもしれません。

 

「天気の子」はどういった映画になるのか?

※ここからは本編公開前から公式HP、新海監督のインタビューなどから想像できる程度のネタバレが含まれます。

 

 

 

どういった作品になるか事前調査。

公式HPでは

・天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」するストーリー。

・東京にやってきた家出少年・帆高

・不思議な力を持つ少女・陽菜。

・ふたりの恋の物語は、美しく、切なく、新たな時代を迎えるあらゆる世代、そして全世界へのメッセージとして描かれる。

とのこと。

又、新海監督へのインタビューで

・多くの人々の価値観が対立するような映画を作りたい。見てくれた誰かと誰かの価値観と価値観がぶつかるような映画でなければいけない

・極端な言い方をすれば、正しくない内容を語ろう、いわゆる賛否の分かれるものを作りたいと思った

と監督は語っています。

これらから想像されるストーリーは、過去の新海監督の作品の様に、永久に再開できそうにないけど心ではつながっているよ~とか、原因不明の昏睡から目覚めたと思ったら記憶を無くした~、といった様な、見る人によっては不完全燃焼な終わり方をしたりするのでしょうか?

あれは2003年頃のNHKの特集だったと思うのですが、30分の短編アニメーション「ほしのこえ」をほぼ1人で制作した新海監督の特集を見て、衝撃を受け、それからは新海監督の作品の虜になっています。

しかし、(作品の感想は人によって異なるのは当たり前ですが)深海監督は、もやっとする終わり方、いわゆるストレートなハッピーエンドでは終わらせず、賛否両論な作品を作る傾向の監督です。

「君の名は。」ではまだ比較的、一般人受けするハッピーエンドにまとめた作風になっており、その作風ががとても好きになりました。あれだけ爆発的な人気になった理由の一つは、この”一般人受けするハッピーエンド”ではないでしょうか?

出来れば、今回、「天気の子」もハッピーエンドで終わってほしい!!

しかし、監督の言う「賛否の分かれるものを作りたい」という言葉が気になります。

今回のキーワードは「お彼岸」か?

又、倍賞千恵子さん 演ずる(下町に住む老婦人)冨美 がスペシャル予報で語ったキーワード。

「お彼岸」

「君の名は。」の時の「黄昏時(かたわれどき)」の言葉の様に、今回の映画のキーワードになるのでしょうか。

いずれにしても、新海監督お得意の光と影の演出と、雨や、水たまりといった光の映えるテーマ「天気」に心が躍ります。

期限ギリギリ迄作りこまれた最新作に大いに期待です。

では、上映時間ですので、ここからはじっくり映画を楽しんで気ます。

天気の子 レビュー


※ここからは本編鑑賞後のネタバレが含まれます。

 

 

 

気になるストーリーは?

天気の子、見てきました。
感想を一言「予想外の展開」です。

大まかなストーリーは、

田舎から家出した少年、帆高が東京での家出生活にトラブルを抱えている。ようやくバイト先も見つかり生活が落ち着いてきた中、不意な出来事で100%晴れ女・陽菜と出会う。帆高と陽菜は協力し合い、多数の人に晴れを届けて心も晴れにしていく。しかし、陽菜の力にはある問題があり、帆高と陽菜はその問題に巻き込まれ、立ち向かっていく。

という、特報などからある程度、想像出来る様な内容です。

そこに、現代でも問題になっている、「異常気象」と「自分たちの居場所が無い人々」に対して私たちはどのように向き合っていくのか?という大きなテーマを投げかけ、その(新海監督が考えた)一つの回答が、帆高が選択した答えではないか?というのが、今回の「天気の子」という作品だったと思います。

そして、この大きなテーマの回答を出すまでに小さな問題をいくつも乗り越えていくにあたり、帆高と陽菜が選択していく1つ1つの選択はおそらく世間一般的には許容されない選択肢。しかし、その選択は本当に間違っているのかを問うことが、新海監督が言う「賛否の分かれるものを作りたい」という言葉に集約されているのだと思います。

正直、監督の言うセリフが、「雲の向こう、約束の場所」や「秒速5センチメートル」の様な感じで終わってしまうのかと、内心ハラハラドキドキしていましたが、違った意味で予想外の展開を準備され、個人的には全然ありな終わり方でした。

全体的には「君の名は。」同様、楽曲に合わせたテンポの良い日常生活、主人公の少年が走るシーン、バイクでの逃避行?、おっぱいネタ?、鏡に映る姿に自問自答する主人公、ギャグシーン、爆発シーンなどもしっかりと盛り込まれており、全体的にも起承転結が分かりやすく描かれていた、綺麗で丁寧な作品となっていました。しかし、逆説的に言うと、分かりやすく単調で、ある程度ストーリーが映画の初めの段階で分かってしまい、インパクトに欠けてしまう作品とも言いかえれます。

また、もう一つ気になっていた特報で出てきた「拳銃」。

正直、現代の日本で家出少年が「拳銃」と出会う可能性が無いため、リアリティが無く、そこが作風を崩さないかととても気になっていたのですが、映画序盤でしっかりと拳銃が出てくる伏線が張られ、そこまで違和感のないアイテムとなっていました。

今回の映画のキーワードはやはり「お彼岸」

また、今回の映画ではやはり「お彼岸」がキーワードになっていました。

お彼岸を調べると、どうやら、仏様の世界を彼岸というらしく、又、浄土教では、極楽浄土がはるか西のかなたにあると考えられていることから、太陽が真東からのぼって真西に沈む、春分の日と秋分の日が特別な日(お彼岸)とされているとの事。

映画の中では仏様の世界より、「もう一つの世界」、「異なる生態系」というような意味を持たせるようなセリフもあり、上記お彼岸のままの意味では少し解釈が異なるのかもしれませんが、そのあたりは(下町に住む老婦人)冨美 をはじめ、占い師であったり、神社の神主がそれらの伏線を張ってくれています。

ちなみに(下町に住む老婦人)冨美 はあえて、冨美と書かれている所に深海監督のいたずら心が見えます。(夏美も同様)

詳しくは劇場でご確認ください。(笑) 今回の映画で一番騙された部分かもしれません。

今回、帆高が家出をした理由など、何点か説明が不十分でそのあたりが気になる観客もいると思いますので、「君の名は。」の時の様に小説などできちんと説明がされるとうれしいですね。 

※2019.07.26追記

小説版を読みましたがほぼ映画と同様で新しい情報はあまりありませんでした。アナザーストーリー的なものが発売される事を期待。

気になる映像美は!?

まず、はじめは新海誠監督の真骨頂、美しくリアルに描いた東京のなかに、雨と光の美しさ、
そして、晴れた後の水たまりや木々に付いた雫に輝く日の光の反射の美しさの対比が言葉が出ないほど美しく・・・

と予想していたのですが、開始から30分間ほどは全体的に暗めのトーンで描き、雨=心の曇りを投影し、家出少年・帆高の東京に感じる恐怖や闇のシーンを描きます。

その後、陽菜と出会い、帆高の心が晴れると同時に明るめのトーンで描かれ始めます。

そこには陽菜が帆高の為に、ごはんを作るシーンなども出てくるのですが、このシーンが絶妙に庶民感がしっかりと演出され、観客に共感や親近感を与えるシーンになっているのでは無いでしょうか?

一つ一つの動きが丁寧に描かれており、自然と笑みが浮かびました。

ここには、今この日本で陽菜・帆高の様な自分の居場所を探している少年・少女が必要とされる家族(仲間)の温かみや、必要とされる家族愛の様なもの、その象徴の一つとしてカップ麺やファーストフードなどの決して高くないごはんだけれども、家族(仲間)と食べられるだけで幸せというメッセージを感じます。

背景画に関しては全体的にもちろん素晴らしい背景ですが、特に中盤の「東京のビル群に霧がかかり、そこに火が差し込むシーン」と、「花火大会」のシーンが神がかって素晴らしいです。

「東京のビル群」は新海監督のお得意の美しくリアルに描いた東京の中に光の美しさをしっかりと描かれています。そこに霧がかかることで何とも幻想的な絵になっています。

「花火大会」は3Dで立体的に描かれ、まるでドローンで花火大会の中を飛んでいる様な映像を見せつけられ感動しました。いままでこのような映像を見たことはありませんでした。

それ以外にも今回、3Dでの立体的な表現で360°の視点から陽菜・帆高を描くシーンなどもあり、今回の映像ではそこが大きく新しくなったのではないでしょうか?

気になるRADWINPSの音楽は!?

今回、スペシャル特報などでも使用されている「愛にできることはまだあるかい」と言う曲に加え、ポップ調な曲なども多数挿入され、また新たな世界感を感じることができました。

三浦透子さんとのフューチャリングもあり、バリエーションに飛んだバックサウンドになっていると思います。

「本田翼」さんの演技は実際!?

公開前から一部噂になっていた「夏美」役「本田翼」さんの演技は実際どうなのか!?

公開前からスペシャル特報で「私とけいちゃんの関係?それは君の想像通りだよ?」というセリフが明らかに棒読みで他の声優との違いを感じさせる演技に、一部色々な意見がうわさが流れていました。

また、新海監督がインタビューで「(夏美というキャラクターが)一番遠い存在になった」と言っていたことや、「新海監督がアフレコの際にキレた」と言った噂もなどが拍車をかけ、今回のチェックポイントとして気にされている方も多いと思います。

実際、本編を見ましたが、全く問題ないといいますか、むしろちゃんと役にはまっていました。

スペシャル特報では「私とけいちゃんの関係?それは君の想像通りだよ?」と一連のセリフの様に編集されていましたが、実際には「私とけいちゃんの関係?」と「それは君の想像通りだよ?」の間にセリフがあり、それを無理やりにスペシャル特報用に編集した為、棒読みに聞こえてしまうと言った状態になっているだけなのではないでしょうか?

監督からのプレゼントは見れるのか!?

「君の名は。」の時には「言の葉の庭」でヒロインだった、ゆきちゃん先生が糸守町の高校で古典教師として活躍している姿が描かれていました。

「言の葉の庭」ではゆきちゃん先生が生徒とのトラブルの末、実家に帰るという結果になってしまい、見る人によってはバッドエンドな終わり方でしたが、「君の名は。」で精力的に古典を生徒に教える姿に涙した方もいるのではないでしょうか?

新海監督のちょっとしたプレゼントだった訳ですが、そうなると今回、「君の名は。」と同じ舞台である「東京」の為、期待してしまいます。そう、三葉と瀧のその後の姿に!!!

公開前の考えでは通行人やカフェの客として、三葉と瀧の仲睦まじい姿がこっそり10秒程度流れるのではないか?と淡い期待を抱き探しました。

でその結果は・・・?

おおおぉぉぉぉー!!!!!
こっそり出るどころか、瀧君ががっつり出てきています!!!

そのほか、三葉、四葉、テッシー、さやかまで!!!

さすが新海監督。

今回もありがとうございます。

気になる瀧と三葉の進展に関しては本編でご確認ください。

わかりやすくヒントを監督は残してくれています。

以上簡単ですがレビューとさせていただきます。

実は、世界最速公開チケットなど準備されるとも、当選するとも夢にも思わず、公開日の朝一で見に行こうと思い7月19日は2ヵ月ほど前から休みを取っていました。

なので・・・今から仮眠をとったら2回目見に行くぞー!!

Posted by sinsuke86